さいたま市で藤島建設さんと高気密高断熱住宅を作る!

家づくりの備忘録 2022.2竣工 HEAT20G2(Ⅵ地域UA=0.45)・C=0.45 連絡先は「このブログについて」を見て下さい。

第29回 高気密・高断熱住宅とは

歩兵です。

高気密・高断熱、略して高高住宅などと言いますが、はっきりした定義はありません。気密性はC値、断熱性はQ値・UA値で客観的に評価することができますが、いくつであれば高気密・高断熱といえるのかは見解が分かれるところです。そのため、ハウスメーカーはそれぞれ独自の基準によって「高気密・高断熱」を謳っているのが現状です。

また、C値は実測値であり、UA値は設計値です。したがってC値は建ててみるまで分かりませんし、UA値はプランによって変わります。ハウスメーカー別のC値・UA値ランキング等のサイトもありますが、そこで示されているのは一例であって、そのハウスメーカーに依頼すればその性能値が保証されるということではありません。

とはいえ、少なくともC値・UA値についてホームページ上で何らかの情報を明示しているか否かは、高気密・高断熱住宅を作れるかどうかのメルクマールになると思います。ほとんど無関心であるか、または高気密・高断熱住宅を作る技術やノウハウを持っていないハウスメーカーは、これらの情報を積極的に公表しないと考えられるからです。

高性能住宅の代名詞ともいえる一条工務店では実測平均C値0.59・モデルプランUA値0.25、スウェーデンハウスでは実測平均C値0.64・平均UA値0.38を公表しています。

ハウスメーカーが高気密・高断熱の家を建ててくれるかどうかは、標準で気密測定を行っているかどうかが一つの判断材料となるでしょう。気密の重要性を理解していれば気密測定による施工の確認をするはずだからです。高性能住宅に特化した工務店では、当然のように全棟気密測定を実施しています。このような工務店であれば高気密の施工にも慣れているため、安心して任せられるといえそうです。

ただC値やUA値が実感できる気密性や断熱性を正確に反映しているとも限りません。たとえばC値であれば隙間面積を延床面積で割って出します。同じ床面積なら壁が多くなるほどC値は悪くなります(C値を良くするなら立方体の家が最良で、パティオを作った凹型・回型の家や1階と2階で面積が違う家、オーバーハングを多用した家などは数値が低くなりそうです)。UA値は熱貫流率(U値)の平均(A=Average)ですが、外付けブラインド、アウターシェードなどによる日射遮蔽については考慮されません。これらの設計や、断熱材のもつ蓄熱性能によっても断熱性の体感は変わってくるはずです。また外皮面積が広くなるほど熱損失は増えます。同じ床面積としても真上から見て正方形の家と凹型の家では外皮面積が違うため、UA値が同じでも体感できる断熱性は異なるはずです。

ちなみにC値・UA値を悪くする大きな要因は窓です。トリプルガラス樹脂サッシのような超高性能窓であっても、断熱性能ではグラスウールを入れた普通の壁に勝てません。また引き違い窓は価格が安いのですが気密性が低いとされています。そのため、作らなくてよい窓は極力作らない(ただし南面は冬場の熱取得のため例外)こと、引き違いの窓はやめてFIXや滑り出し窓を使うことで数値を上げることができます。歩兵の計画ではYKKのAPW330(アルミスペーサー)を使いますが、断熱性についても引き違いより滑り出し窓のほうがカタログスペックは高くなっています。

さて、結局高気密・高断熱って何なんでしょうか。C値=1.0以下だとかUA値=Heat20 G2レベル(さいたまだとUA値0.46)以上だとか色々言われます。しかし歩兵としてはこう考えています。

「真夏・真冬に24時間エアコンを連続運転し、全館で一定の室温を保つことができる(間欠運転の場合よりも消費エネルギーが少ない)」

屋外でエアコンを運転しても空間の温度に対する影響はほとんどありません。無駄な運転になります。これが戦前の無気密・無断熱住宅です(だから冬は囲炉裏や暖炉の近くで暖まり、夏は風を通して日陰を作り涼みました。このような家は室内外で温度差がないので結露とも無縁です)。

そして昭和・平成の低気密・低断熱住宅では、逃げていく熱・入ってくる熱が大きいため、エアコンの24時間運転や全館空調は非効率的でした。そのため間欠運転により必要なときに必要な場所のみエアコンで空調したわけです。冬場、空調がない脱衣所や風呂、トイレは寒くて仕方ありませんし、健康にも悪影響があります。

ここで、超高気密・超高断熱住宅を仮定してみます。C値=0、Q値=0、換気による熱損失も考慮せず、また室内で発生する熱も0とすれば、真夏も真冬もエアコンなしで室温は常に一定となります。現実的にはこのような住宅はありえないのでエアコンによる室温コントロールが必要になるわけですが、気密性・断熱性が十分に高ければ、ごくわずかなエアコンの負荷で(24時間運転により)室内の温度を一定に保つことができるといえます。(実際には対流を作って家じゅうに熱を移動させなければならないので単純ではありませんが)このような家は全館で温度が一定なのでヒートショックの心配もなく、非常に快適に過ごすことができるはずです。

このように「エアコン負荷が小さく、連続運転で全館の室温変化を抑えたほうが省エネルギーになるという住宅こそ、高気密・高断熱である」というのが歩兵の考えです。言い方を変えれば、省エネで全館空調が可能な家ということにもなります。設計、換気や送風も関係しますので、別途書いてみたいと思います。

続きはまた。あんにょん。