さいたま市で藤島建設さんと高気密高断熱住宅を作る!

家づくりの備忘録 2022.2竣工 HEAT20G2(Ⅵ地域UA=0.45)・C=0.45 連絡先は「このブログについて」を見て下さい。

第75回 中間気密測定~C値の行方

歩兵です。

先日、気密測定(気密工事完了時=中間検査)をしていただきました。藤島建設さんの場合、中間と完成の2回実施します。JIS規格では完成時に行うことになっており、実際に気密施工に自信がある意識高い系工務店だと完成一発勝負ということも多いようです(中間時に行うのは施工不備の修繕を可能にするためなので、絶対の自信があるなら完成時に確認すればよいということと、専門業者に外注するためそこそこお金がかかるためであるとも思われます)。藤島建設さんの場合自社に技術者の方がいて自前の機材で測定するため、2回実施することのコストよりメリットが大きいと考えているのだろうと想像しています。施主的には2回やってもらえたほうが安心感はあります。

高気密・高断熱住宅のブログでは皆さん気密測定の結果C値がいくつだった、ということで一喜一憂されます。歩兵も当然自宅のC値は気になりますし、以前にも書いた通り低ければ低いほどいいと考えています。

ただC値は作り手の技術だけで決まるものではありません。まず、そもそもC値は建物全体の隙間をかき集めた面積を延べ床面積(に相当する面積)で割ったものです。ということは、床面積に対して外皮が増えれば増えるほどC値は悪くなります。気密性だけを考えるなら、さいころ型の立方体の家が最良で、直方体の家は悪くなります。たとえば、東西南北の一辺が10mの立方体の家と南北20m東西5mの直方体の家を比べてみます。高さは同じ10m(2階建ての陸屋根)だとして、延床面積は同じ200㎡です。しかし、外皮(東西南北の外壁と屋根)の面積の合計をみると前者は500㎡、後者は600㎡となります。外皮が20%も増えるわけですから隙間も増えることになり、でも床面積は同じなのでC値は悪くなります。同様の理由で、屋根断熱の場合は屋根の形状によっても左右されると思われます。総二階が最良で、オーバーハングにしたりコの字型で外壁を増やすほどマイナスとなります。

以前にも書きましたが床断熱は貫通部が多く気密処理が難しいためC値が悪くなるといわれています。屋根断熱の場合も斜めの屋根に沿って気密ラインができるため施工に手間がかかり、天井断熱と比べるとやはり気密性が劣る場合があるようです。

サッシについても引き違い窓の気密性が悪いため、引き違い窓の数によってC値は変わってくると言われています。掃き出し窓がたくさんあるような家はC値が低くなると思います。当然ながら一番よいのはFIXで、断熱のことを考えても「冬季に日射取得が生きる南面意外は不要な窓を極力作らない」のが高気密・高断熱・パッシブ住宅の王道といって間違いないでしょう。

(ということで一条工務店の「一条ルール(総二階しか作れない等)」も有名ですが、高性能住宅に特化した工務店の場合、設計上の制約がかなり多くなるようです。C値0.5を保証します、という会社さんも探せば結構ありますが、自由な設計とはトレード・オフになるわけです)

歩兵も気密性を何よりも重要だと考え、できるだけ設計に反映していただきました。とはいえ、敷地が南北に長い長方形(パッシブ設計的には東西にやや長い長方形のほうがよいのですが、これは仕方ない)であるため建物は長方形にならざるを得ず、玄関上のオーバーハングや小屋裏を作るための屋根断熱(天井断熱と併用)など、気密性確保のために不利な要因もありました。

ということで前置きが長くなりましたが、測定の結果、歩兵宅のC値は0.17という数値が出ました(計測は風の影響を受けやすいのですが、風速0.2m/sと比較的よい条件で計測されています)。隙間特性値nは1.36で、特に問題はなさそうです。

中間検査ではありますが、歩兵の家の条件でC値0.17というと「超高気密」といえるレベルだと思います。完成までに貫通部(エアコン、第一種ダクト換気、レンジフード、ユニットバス、乾太くん、配線等)が増えるため完成検査でのC値はこれより悪くなると思われますが、それでもかなりの数字を出してくれるのではないかと期待が持てました。

建物の精度は上棟時におおよそ決まるそうですが、その後の気密工事もしっかり丁寧にしないと数字は出ないはずです。藤島建設さんの大工さんの技術、仕事ぶりに感謝したいと思います。完成検査が楽しみです。

続きはまた。あんにょん。