さいたま市で藤島建設さんと高気密高断熱住宅を作る!

家づくりの備忘録 2022.2竣工 HEAT20G2(Ⅵ地域UA=0.45)・C=0.45 連絡先は「このブログについて」を見て下さい。

第36回 高気密住宅をつくるには

歩兵です。

連日乾太くんのことばかり書いてきましたが、結局のところ誰も教えてくれなかった乾太くんの弱点は半密閉式で膨大な量の換気を必要とする(=熱損失が大きくなる)、ということだと思います(一応リンナイに密閉式にするオプションがないか問い合わせたところ、「ない」という返事がきました)。高気密・高断熱住宅で適切に空調管理すればあらゆる洗濯物は室内干しでも十分乾くと考えられますので、本当に乾太くんが必要なのかも人によるかと思います。歩兵はそれでもガス乾燥機を使いたいので(とにかく早く大量に乾かしたいから)、実験台として、藤島建設さんに高気密・高断熱住宅を作ってもらい、乾太くんを使った場合の住み心地をレポートします。それで皆さんのお役に立てればと思います。

加熱調理機もガスコンロにすると多量の換気を必要になるため、空調管理のためにはIHのほうが有利だと思います。一条工務店オール電化で全館ヒートポンプ式床暖房やら太陽光やらを標準化しているのはキャッチーなだけでなく合理的だと今更ながら感心します。

さて、高気密の話です。住宅の高気密化にともなって24時間換気の設置が義務付けられたのは2003年以降です(歩兵が現在住んでいる古めの賃貸戸建には24時間換気はありません)。住宅性能に関心がある方は選択肢として第一種換気・第三種換気があることくらいはご存知だと思います。いずれにせよ、気密性が高くないと計画的な換気ができません。住宅に隙間があればあるほど、空気がうまく流れず、換気がされず空間によどみができてしまいます。シックハウスの原因にもなります。しかし、気密がきちんととれていれば、排気と給気の流れができますのでしっかり空気が入れ替わるようになります。

計画換気では給気の際にフィルターを通過しますから花粉やPM2.5などの汚染物質をブロックします。これも気密が低ければ素通りですから意味がありません(「窓を開けて自然換気で生活する」というスタイルは日本人好みのようではありますが、21世紀の首都圏においてはもはや無理だと思います。機械とフィルターなくしてきれいな空気は供給されないのです…)。パナソニックのHPには第三種換気でC値1.5を超えると給気口から逆流し排気されるというデータもあり、計画換気にはかなりの高気密が要求されることが分かります。

また当たり前ですが気密が低いと冷暖房効率が下がります。低気密住宅で暖房しても暖気が上方に引っ張られて外に出て、家に冷たい外気を引き込んでいきます(煙突効果)。隙間風が入り家中の温度ムラができると非常に不快です。

つまりどんなに高性能な換気システムや冷暖房システムを使っても、気密が取れていないと台無しになるわけです。

歩兵は家づくりに関して色々な文献を読み、住宅の工法や断熱材の選び方には複数の解があることを理解しましたし、断熱については(G3をはるかに超えていくような高断熱は建築費用が爆上がりするので)コストバランスも重要だと思いますが、「高気密」を否定する説得的な論拠は何一つありませんでした。端的に言えばC値は低いほどいい。気密性なんて意味がないとか、中気密くらいがちょうどいい、という言説もありますが、鉄骨プレハブ系とか気密を出しにくい工法のハウスメーカーステルスマーケティングか何かです多分。国の省エネ基準でもC値の基準はありません(C値は設計段階では分かりませんし建ててから基準不適合と言われても困るという話かもしれませんが、パッシブハウス認定にはC値0.2という基準があります)が、高性能住宅を作るのであれば高気密に徹底的にこだわるべきだと思います。歩兵は気密を重要視しないハウスメーカー(現状では大半)を信じません。

断熱性はお金をかければ上がりますが、気密性はコストだけでは決まりません。そもそも窓を減らす、作るとしてもできるだけFIXや開き窓にする(引き違いは気密性が低い)、基礎断熱にする(基礎外周だけ気密をとればいいので床断熱と比べて気密性を出しやすい)、ツーバイフォー・ツーバイシックス工法とする(面材で囲ってしまう構造なので在来工法と比べて性能を出しやすい)、ということで気密性を高めることはできます。それでも結局のところ建てる側が気密の重要性を理解し、丁寧に配慮しながら施工するか(気密性を確保するノウハウを持っているか)という点で住宅の気密性能が決まっていくのではないかと思います。多くのハウスメーカー(の営業さんと設計士さん)は自社の標準仕様が最良かつ十分だと信じているので、高性能住宅を建てるならば、高気密住宅の施工に慣れている(標準化している)工務店を選ぶことが最善であると思われます。そうでない工務店に高気密施工を求めても面倒な施主と思われるだけで結果も期待できません。

藤島建設さんはユトリロ(高性能住宅)仕様で全棟気密測定を行っており、実測平均C値0.7程度と公表していますが、先述の通りC値は低ければ低いほどいいわけです。具体的なC値の数字については建物の形状によって変わる部分もあるため何とも言えませんし、換気・漏気の計算をするのも難しいのですが、一般論としてC値1.0を上回ると計画換気がうまくいかないという説明0.5以下にすべきという意見が多いようです。

歩兵宅も設計段階から基礎断熱で総二階の箱型の家とする、窓は最低限に(できる限りFIXにする)、等性能を最優先とすべく考慮しています。ぜひ高気密施工にこだわり、実力を発揮していただけることを念願しています。

続きはまた。あんにょん。