歩兵です。
ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸、フランク・ロイド・ライトのロビー邸・カウフマン邸(落水荘)など、20世紀前半のモダニズム建築には傑作といわれる住宅がいくつかあります。世界遺産として観光客を集めるものもあり、注文住宅を考える方であればいくらか関心を持っているかもしれません。日本にも江戸東京たてもの園にある前川國男自邸など、昭和の時期に建てられた美しいモダニズム住宅が残されています。
そしてモダニズム建築の代表といえばル・コルヴュジエのサヴォア邸が挙げられます。コルヴュジエは「ピロティ」「自由な平面」「自由な立面(ファサード)」「水平連続窓」「屋上庭園」を提唱し、これらを高いレベルで実現したのがサヴォア邸であるといわれています。歩兵もサヴォア邸のデザインに感銘を受け、近代建築史とくに住宅建築に関心を持つようになりました。
自邸を作るにあたっても、サヴォア邸を模すとは言わずとも、せっかく自由設計で作るのならモダニズム建築にみられるような美しいデザインを実現したい気持ちもありました。しかし、コルヴュジエのいう近代建築の五原則を普通の木造住宅でやろうとするのはかなり難しいのではないかと思われます。
まずそもそもですが木造住宅は柱だけでなく壁で建物を支える構造になり耐震性を確保しています。つまり、ピロティのような壁がなく柱だけでできた空間は地震に弱いのです。
また、ヤマト住建のように屋上庭園を設けることを売りにする木造住宅の会社も出てきましたが、例は多くありません。普通の屋根を作る場合に比べて防水の施工が難しくなるからです。
自由な間取りやファサード、水平連続窓も耐震性とトレードオフです。窓があるということはその部分に構造を支える柱や壁がないということです。横長の窓や大スパンの広い空間は、地震大国である日本の木造住宅にはなじまないのです(サヴォア邸があるパリは地震がほとんどありません)。
鉄骨系メーカーではモダニズムのエッセンスをデザインの売りにしている例もあります。歩兵は住宅性能を重視するため当初から鉄骨系は検討対象外でしたが、もしこのような「モダニズム風」住宅を作りたければ木造では困難で、鉄骨系のHMを選ぶことになったでしょう。
続きはまた。あんにょん。