さいたま市で藤島建設さんと高気密高断熱住宅を作る!

家づくりの備忘録 2022.2竣工 HEAT20G2(Ⅵ地域UA=0.45)・C=0.45 連絡先は「このブログについて」を見て下さい。

第16回 ウッドファイバーの調湿性能

歩兵です。

前回書いた「結露しない家に住みたい」という話の続きです。新築計画にあたり、慎重な検討の結果、藤島建設さんに依頼することにした最大の理由はウッドファイバー断熱材を使った家に住んでみたいと思ったことです。やや長くなりますが、ブログにとても書きたかった内容なのでぜひ読んで下さい。

高気密・高断熱住宅の施工をうたう工務店は多くありますが、藤島建設さんが他と大きく違うのはウッドファイバー断熱材を使うという点です(ウレタンフォームも選択可能です)。

環境建築特化型の工務店などを除き、中堅以上のビルダーでウッドファイバーを使う例は探した限り見当たりませんでした。もともとドイツで生まれた断熱材で、日本では2009年頃から北海道で生産が始まったようです。

ウッドファイバーは普及が進んでいないこともあってコストが高いのが難点といわれていますが、藤島建設さんは、自社で所有する森林の間伐材を使ったフジシマウッドファイバーを使用しており、低コスト化を実現しているといいます(生産しているのは苫小牧にあるウッドファイバー株式会社の工場であると思われます)。

ウッドファイバーには様々な特徴があるのですが、特筆すべきは調湿性能だと思います。これは分かるようで分かりにくく、歩兵も理解に時間がかかりました。これは断熱材が水蒸気を吸収したり、放出したりして、湿度を調節してくれるというものです。それだけ聞くと、なんとなく快適そうに思えます。

しかし話はそう簡単ではなく、断熱材が加湿器や除湿器のかわりをしてくれるようなものではありません。冬場に屋外が乾燥していれば、室内の水蒸気は壁を通って外に逃げていきますし、夏場は外の湿気が室内に侵入してきます。つまり、ウッドファイバーを使っただけで室内の湿度が快適に保たれることにはなりません。考えてみれば当然で、湿気は湿度が高いところから低いところへと移動していきますから、室内の快適な湿度を維持しようと思ったら機械の力を使って加湿・除湿する必要があります。

水蒸気の粒子は非常に小さいため、気密性の高い住宅であっても壁を通って屋内外を行き来します。グラスウールなどの一般的な断熱材は吸湿性がないため、壁内に水蒸気がたまればそこで結露します。そのため、水蒸気の出入りを防ぐためのシートを室内側に施工し、室内の湿度を保てるようにするのが一般的です。ただ、防湿シートを隙間なく施工するのは非常に難しいとされ、劣化も懸念されます。防湿シートに隙間ができてしまうと、そこから湿気がどんどん壁の中に入り込んでいきます。湿気がすぐ外に逃げて行けばいいのですが、その前に結露が起きてしまいます。

また、防湿シートを施工すると、夏に外気の湿度が壁の中に侵入してから行き場をなくし、壁内で結露を起こす原因となります(可変透湿シートという高湿度では透湿し、低湿度では防湿するというものもあります。ただ施工が難しいのは変わりませんし、高価なようです)。

ここで威力を発揮するのがウッドファイバーの吸放湿性です。ウッドファイバーは水蒸気を通す性質があり、吸放湿性が非常に高いため、壁内の湿度変化を遅らせることができるのです。たとえて言えば断熱材がダムのようなもので、水蒸気の移動を堰き止め、ゆっくりと出し入れすることによって湿気が壁の中にたまってしまうのを防いでくれるわけです。そのため、埼玉県のような比較的温暖な(冬季の屋外と室内の温度差がある程度小さい)地域では、ウッドファイバーの吸湿性によって十分結露を防げるため、断熱材の室内側に防湿シートを施工する必要がないのです。

歩兵は、藤島建設さんで新築を検討するにあたり、壁の構造と湿度調整に関する考え方(特に防湿・透湿)について詳しく確認しました。細かい資料まで作って丁寧に説明して下さったH常務によれば、藤島建設さんでウッドファイバー断熱仕様を選ぶ場合、結露計算を行ったうえ、防湿シートは使用せず、水蒸気は断熱材と通気層を通って屋内外を行き来できるように考えられているそうです。それならば、ウッドファイバーの調湿性能によって湿度の変化が緩和されることになるため、加湿器・除湿器を使用することで室内の湿度を快適に維持しつつ、冬も夏も結露を防止することができることを確信しました。

調湿性能という面では同じ木質系断熱材であるセルロースファイバーがよく知られていますが、ウッドファイバーは段違いに優秀です。

これが、歩兵が最終的に藤島建設さんを選んだ最大の理由です。高性能サッシの使用なども含めて高気密・高断熱であることは大前提ですが、結露防止についての考え方に納得できるかは非常に重要な点でした。

断熱材メーカーや工務店だけでなく、専門家のブログ等も含め「ウッドファイバーによる調湿」について一般人である施主に分かりやすく説明しているWEBサイトは皆無に等しく、ウッドファイバーについての理解を深めるため、当ブログが何らかの役に立てば幸いです(時間があれば、分かりやすい説明動画でも作ってYouTubeにでもアップしようかと思います)。

また、ウレタンフォームなど湿気を通しにくい断熱材を使用するという方法もあり、それはそれで正解だと思いますが、これとの比較は別稿に譲りたいと思います。

ウッドファイバーについては書くことが多いので、続きはまた。あんにょん。